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2012年4月の5冊


 

 

『近世の地域と中間権力』  [請求記号:210.5/sh56]

志村洋 吉田伸之編 山川出版社 2011年

 国家は人びとを直接支配することはありません。常に中間団体が何らかの形で介在して、権力を行使していました。日本の江戸時代を例にとると、村社会や都市社会にはさまざまなレベルで役職者がいて、行政的支配のある部分を担当していました。町・村共同体はもちろんのこと、組合村とか町組とか呼ばれる中間諸組織に、いわゆる政治的中間層として張り付いていました。本書は、近年活発に議論されるようになってきた、この中間層の実態を地域社会における一つの権力の形態つまり「中間権力」として位置付けることで、より一層近世社会を深く理解しようとしたものです。
 編者の志村さんは村社会の中間層研究をリードしている方で、本書でも幕末期の大庄屋の活動について書いています。もう一人の編者吉田さんは、近世都市社会研究の第一人者で、「社会的権力」という独自の概念を提起し、こうした研究潮流を作りだした張本人です。そのお二人が、かつて吉田さんらが編集した『近世の社会的権力』(山川出版社、1996年)[請求記号:210.5//275]を乗り越えるべく、若手研究者を主たる執筆陣に据え、改めて世に問うたのです。
15年が経過して、ずいぶん到達点は変化したと思います。本書に収録された8本の論文は、T部「大庄屋・惣庄屋」とU部「豪商・町役人」にそれぞれ4本ずつ配置されていますが、大庄屋研究では新たな地域的広がりと研究手法の深化(海防問題と絡めるなど)がみられます。都市のほうでも、巨大都市の研究が中心だったものから中小の都市の検討へと進み、金融という論点が深められました。吉田さんも述べるように、現代では「地域社会において、地域リーダー、中小自治体などの中間的諸領域やその担い手が果たすべき役割・機能が改めて注目され」てきています。その意味でも、本書が時代を超えて提起する問題は多くあると思います。

(学術情報センター長 大塚英二(日本文化学部歴史文化学科))

 

『名古屋・ゆうゆう自転車散歩マップ』    [請求記号:共同図書環:291.55/N27/]

自転車生活ブックス編集部編 ロコモーションパブリッシング 2006年

 自分にとって飯のタネになる本や仕事に役立つ本しか購入したり読んだりすることはあまりありません。よって専門書以外に目を通すことはまれですが、サイクリングが趣味なので、サイクルスポーツ誌はよく読んでいます。自転車レース志向の書籍が主ですが、共同図書環(Tosho Ring)の中で、標題書名の本を見つけたので推薦紹介します。
 最近エコブームの影響もあり、自転車を利用した移動や通勤者が増加しています。
 そんな中、名古屋をサイクリングしてみたいという方のお勧め本理由として下記があげられます。

 何といってもサイクリングは有酸素運動で体にとっても良いスポーツです。これから暖かくなりますので、皆さんも一度名古屋を自転車で散歩してみてはいかがでしょう

(情報処理教育センター 五反田)

 

『打たれ強くなるための読書術』  [請求記号:080/C44/705]

東郷雄二著 筑摩書房(ちくま新書) 2008年

 大学生になると、レポート作成やゼミの準備などのためにたくさんの専門書や学術論文を読むことが増えます。けれど、そういった本や論文は小説や実用書と違って、慣れていないと読むのにも骨が折れるものだと感じている学生さんもいらっしゃるかと思います。しかもこのような本のための読書術を倣う機会は少ないのではないでしょうか?
 この本は、そういった読書の技術について書かれた本です。まずは読むべき本の見極め方、次に本の内容を読み解く方法などが解説されています。その上でこの本の筆者は、本から何かを受け取る一方という立場ではなく、自ら本に問いかけて問題を発見し、自分で考えて答えを見つけていく“打たれ強さ”を身につけてほしいと言っています。
 読書の技術について、たくさんの例をあげてわかりやすく書いてある本ですので、「大学生のための読書術」について知りたいと思ったときは、ぜひ読んでみて下さい。

(学術情報センター長久手キャンパス図書館 井戸)

 

『イタリア家族旅行』  [請求記号:293.709/Y18]

山吹直人著 東洋出版 2006年

 新しい年度がスタートしましたね。さまざまな楽しいことが待ち受けているのではないかと、なんだかわくわくする季節です。
 突然ですが、みなさんが行ってみたい国はどこですか?私はそう聞かれたときに、いつもイタリアと答えています。でも私はイタリアどころか、外国へ行ったことがありません。でもなぜだか、イタリアという国にあこがれてしまいます。
 この本の著者は、家族4人でヨーロッパを目指すプロジェクトを開始します。スケジュール作り、観光名所の予約、チップのマナーやショッピング。他の国々への旅行にも役に立ちそうな、実践的な考え方がつまった1冊です。
 我が家ではここ数年、家族旅行に出かけるのが夏の恒例行事となっています。いつか両親を初めての海外旅行へ連れて行くことを目標にして、旅の本を見ては期待をふくらませています。
 社会人になるとまとまったお休みが取りづらくなってしまったり、結婚をすれば自由にお金を使うことも難しくなってしまうかと思います。時間やお金を比較的自由に使いやすい学生のみなさんだからできること、今しかできないことがきっとあるはずです。そして学生時代の多くの経験が、きっとみなさんのこれからに役立つことと思います。何か新しいことを始めるのにぴったりのこの季節に、それぞれの楽しい計画を立ててみてはいかがでしょうか。

(学術情報センター長久手キャンパス図書館 加藤)

 

『尾張なごや傑物伝 : 宗春がいた、朝日文左衛門がいた』   [請求記号:281.55/Se58]

千田龍彦著 風媒社 2011年

 今年度から、「名古屋おもてなし武将隊」の顔ぶれが新しくなるようです。名古屋と関わりのある武将が6人選ばれていますが、「尾張名古屋といえば三英傑」というように、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康ばかりがクローズアップされがちです。
 今回は、そんな戦国・江戸時代の尾張の歴史の中で、三英傑以外の魅力ある人物や知られざる事実を掘り起こしている本をご紹介します。
 2008年から2010年に新聞連載されていたもので、徳川宗春・朝日文左衛門・木曽ヒノキ・本丸御殿障壁画・清須の5つの話が取り上げられています。
 宗春の墓に金網が被せられていた話の中で、県大の元教授である市橋鐸先生が藩主達の墓の近くの芝生で昼寝をしていたと知った時には驚きました。
 朝日文左衛門の酒飲みの話では、今の時代の大食いイベントのようなエピソードが紹介されており、江戸時代も身近に感じられました。
 その他にも、興味深いコラムなども掲載されており、「尾張なごや」を楽しめる一冊だと思います。

(学術情報センター長久手キャンパス図書館 古屋)