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2015年4月の5冊


 

 

『137億年の物語 : 宇宙が始まってから今日までの全歴史』 [請求記号:209/L76]

 クリストファー・ロイド著 野中香方子訳 文藝春秋 2012年

 137億年前にビッグバンが起こり、宇宙が誕生しました。その瞬間を24時間の0分とすると、現生人類が誕生したのは23時間59分57秒後、つまり宇宙史では3秒前。文明の誕生にいたっては0.1秒前ということになるそうです。この宇宙の時間軸で考えると、人間の歴史がいかに短いかがわかります。また世界の変化も現在に近づくにつれて加速しているようにも感じられます。
 本書ではその0.1秒の人類の歴史に多くのページをさいていますが、それは戦いと発明の歴史でもあります。私たち人間は創っては壊し、争いや移動を繰り返して地球を覆い尽くしていったことが本書を読むとよくわかります。現在の貧困や深刻な社会問題が、過去に人類が起こした過ちに起因することもあります。
 最後まで読んだらもう一度、最初の方のページを開いてみてください。この地球に人が住めるようになるまでにどのくらいかかったのかを考えると、私たち人間は自分たちの目先のことばかりではなく、過去も未来ももっと遠くまで見据えて、大きな目で捉えないといけないのではないかと思えてきます。
 歴史は過去の過ちを繰り返さないために、未来をより良くするために知るものであって、本書はこの世界を考えさせられる1冊になると思います。

(長久手キャンパス図書館 大島)

 

『古典籍研究ガイダンス : 王朝文学をよむために』 [請求記号:910.23/Ko93]

 人間文化研究機構国文学研究資料館編 笠間書院 2012年

 新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。在学生のみなさんも、新しい気持ちで4月を迎えていることと思います。そんなフレッシュなみなさんですが、今回は古い昔の資料(古典籍)について書かれた図書をご紹介します。
 みなさんは古典作品をどのように読んでいますか。たとえば『源氏物語』や『枕草子』はとても有名ですが、おそらく教科書や全集本に収められているような活字になっているもので読んでいることが多いのではないでしょうか。もちろん現代の私たちにとってはその方が読みやすく、解説や現代語訳も載っていて内容も理解しやすいかと思います。ですが古典作品は長い歴史の中で読み伝えられる間に、本文が削られてしまうことや書き足されることがある場合も少なくありません。活字になっているものだけではなく、原点に立ち返ることで作品が変化していく過程を理解し、それぞれの時代の人々にどのように享受されていったのかを考えることは、とても重要なことだと思います。
 そういう私も、古典籍を目録整理するために勉強をしている最中です。くずし字に不慣れな者にとって、あのふにゃふにゃした文字を読み解いていくことは容易ではありません。ですが原本に触れることで活字本だけではわからなかった当時の背景を垣間見ることができ、人の手に伝わってきた温かみを知ることができます。この本では古典籍の研究方法を紹介するとともに、有名な古典作品の研究成果を謎解きのようにわかりやすく解説してくれています。この本を読んでさらに気になること、もっと調べてみたいことがあれば、それが研究の始まりです。私もみなさんと一緒に新しい発見ができれば、とても嬉しく思います。新たにわかったことがあれば、ぜひとも教えてください。
 ―「わからないことがあるからこそ、きっと研究は面白い」
 (イントロダクションより)

 これからみなさんが様々な分野で研究を進めていく中で、古典籍に限らずみなさんにとって必要な本たちに出会えることを願っています。私自身も図書館でみなさんにお会いするのを楽しみにしています。

(長久手キャンパス図書館 加藤)

 

『お仕事のマナーとコツ』 [請求記号:336.49/O76]

 西出博子監修 伊藤美樹絵 学研 2006年

 桜の季節になりました。この時期はどうしても心がソワソワしてしまいます。バス停の列に並ぶ人や、電車で向かい合う人の顔ぶれがいつもと違って、いよいよ新年度かと実感します。さて、心を落ち着けるため、何事も適度な事前の準備が大切ですが、今回紹介する本は、社会に出る一歩手前の皆さんに、その準備のひとつとしておすすめするものです。
 コミカルなイラスト満載で、「電話の受け方」「上司への報告の仕方」「優先順位のつけ方」などなど、社会人としての立ち居振る舞いや悩みあるあるを丁寧に指南しています。ビジネスマナーの本ではありますが、例えば久しぶりに会う友人同士でちょっとした連絡をするときや、指導教員の先生へメールをするときなど、この本を参考にしてみるのはいかがでしょう。「お、なんだか印象いい」と感心してもらえるかもしれません。形から入る、というのは案外大切なことなのです。肩肘を張らずに読めるので、就活に疲れた…なんていう時期に手にとってみても良いかもしれません。

(長久手キャンパス図書館 神尾)

 

『かもめ食堂』 [映像資料] [請求記号:DVD//834]

 荻上直子脚本・監督 群ようこ原作 バップ 2006年

 昨年度は、トーベ・ヤンソン生誕100周年ということで、母国のフンィンランドに限らず、世界中でムーミンやフィンランドが注目されていました。図書館でも、「ムーミンとフィンランド展」を開催しました。そこで、フィンランドを舞台にした映画、「かもめ食堂」を紹介したいと思います。
 「かもめ食堂」は、1人の日本人女性が、フィンランドの首都ヘルシンキで日本食(特におにぎり)にこだわった食堂を営むお話です。この映画は邦画ですが、主演の3人以外は日本人が登場せず、撮影もヘルシンキで行われている、少し珍しい映画です。のんびりとした世界観がヘルシンキの街並みととてもマッチしていて、最後までスーっと気持ちよく鑑賞できます。
 食堂なので、食べ物がいくつか登場しますが、どれもこれも凄く美味しそうで、観ているだけで、お腹が鳴ります。トントントンといった包丁の音や、ジューっという調理音が心地よく、より一層料理を魅力的に演出しています。難しい料理はまったく出てこないので、「今度作ってみようかな・・・」などと想像も膨らみます。
 「かもめ食堂」を観ていると、どこか憧れる暮らし方、年相応なファッションなど、生活の参考にしたくなる要素が多々出てきます。また、大人になってから、新たな友人ができるのも、いいものかもしれないな・・・と感じさせられます。今後の人生、年齢を重ねていくのが楽しみになる映画です。ホッとリフレッシュしたい時などに、見てみるといいかなと思います。

(長久手キャンパス図書館 黒岩)

 

『不便から生まれるデザイン : 工学に活かす常識を超えた発想』 [請求記号:501.84/Ka94]

 川上浩司著 化学同人 2011年

 「大きなかぶ」は子どもの頃、読み聞かせをしてもらったお話の中の一つだと思います。
 幼少のみぎり、私たちは『ものさし』を入口に世界を「はかる」ことをはじめます。ゆえに物事の価値を判断する基準となるものも、同様にこの名をもって迎えられてきました。
 しかし、ときは21世紀。2012年9月という奇しくも国民的青だぬきが誕生するほぼほぼ1世紀前に、その『ものさし』界をゆるがす新たな『ものさし』が提案されました。
 みなさんは、『素数ものさし』なるものをご存じありませんか。聞きなれない方も多いかもしれません。それが普通です。もし「よく使っているよ」という方がいたら、ちょっとヘンテコさんです。何に使っているのでしょうか?
 『素数ものさし』とは、「2, 3, 5, 7, 11, 13, 17,…」と"mm"も"cm"も素数の長さのみ目盛りがふられ、目盛りの数もそれぞれ素数個、値段は577円(税込)でピタゴラス数という素数にこだわりぬいて作られたものさしです。これを目にした多くの人が思ったことでしょう。「何に使えるの?」
 数年前、とある京都の最高学府に「不便のいいところ(=不便益)を研究する」とのテーマを掲げた科学者たちが現れました。余人からしてみれば、不可解極まるこのプロジェクトですが、侮ってはいけません。政府の研究資金(科研費)も投入されたれっきとした科学研究事業なのです。この本には、その研究視座や成果が綴られています。
 では、不便益とは一体どんなものなのでしょうか。そもそも便利な人工物を疎んじたり、昔の物に固執したりするような声は、かねてよりささやかれていました。いわゆる「ラッダイト精神」や「懐古主義」といったものです。しかし、研究代表川上教授の視座はこれらとは一線を画しています。彼は、こう考えるのです。
 「今まで見過ごしていた不便益には、ちょっとだけ人々の生活を豊かにするヒントがあるかもしれない」
 いつからか次から次へと生まれる技術を当たり前のように受け入れるようになった私たちですが、それらがいつも全面的によいものとは限りません。大切なのは、自分の望みを考え、理解し、方法を選択することです。気付きにくくなってしまった大事な選択肢を感情面だけではなく、論理的に整理してくれる点がこの研究の妙といえます。
 『素数ものさし』も、不便益研究の成果物のひとつ。さて、そこにはいったいどんな不便益があるのでしょうか。なにせ不便と銘打っていますから、過大な期待を抱いてはいけません。発案者でさえ、「素数に触れ合ってもらう」ぐらいしか用途を見いだせていないのです。気長に探すうちに、小さなときめきがひょっこり顔を出す。そういうのも、いいですよね。

(長久手キャンパス図書館 佐藤)