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2015年6月の5冊


 

 

『門田界隈の道 : もうひとつの岡山文化』  [請求記号:217.5/H22]

 濱田栄夫著 吉備人出版 2012年

 私の自宅は岡山市にあります。週末帰宅の単身赴任生活ですが、今回紹介するのは、その岡山の地方出版社が出している、岡山の自宅近く、私の日常生活圏が舞台の非常に局所的な話題を取り上げた本です。地方の明治期以降の国際化と近代社会化の具体的姿が、A. P. Adamsのような西洋人宣教師たちや社会福祉の先駆けとなった岡山孤児院の創設者石井十次、そして、津田梅子らとともにアメリカ留学し、帰国後地域の女子教育・英語教育に関わった女性教師上代淑など、この地に関わった人々の活躍の様子から、具体的資料をもとに明らかにされています。おそらく全国各地で進んだであろう明治初期からの近代化あるいは国際化を、産業経済や社会風俗の近代化、いわゆる「文明開化」の視点ではなく、教育や福祉、あるいは、弱者の視点から見ようとする、超ローカルながらも、実は現代日本社会を考える上で普遍的要素と問題提起をもった著作だと思います。しかも、いま自分が住み、よく犬の散歩や買い物などで行き来する場が、かつてそこに住み活躍した人々の情熱や葛藤の秘められていた場であったという意外な史実に驚かされます。きっと皆さんの近所にも同じようなたくさんの秘められた「歴史」があるに違いありません。全国流通にはなかなか載らない地方出版社が出しているような、身近な地域の話題や歴史を紐解く本にも触れてみませんか。

(学術研究情報センター長 中島茂(日本文化学部歴史文化学科))

 

『かばんはハンカチの上に置きなさい : トップ営業がやっている小さなルール』
[請求記号:673.3/Ka92]

 川田修著 ダイヤモンド社 2009年

 水曜日の昼になると○○○○レディが乳酸菌飲料やヨーグルトをもって研究室に来てくれます。初めて来室されたとき、肩にかけた重そうな保冷バックを「どうぞ置いてください」と促したら、彼女は「ありがとうございます」と微笑みながらタオルを取り出しました。それを机に丁寧に広げて、その上にバックを置くのを見て、「こういう心遣いもあるんだ」と感心しました。その後もそれは続き、見慣れてきた頃に書店でこの本と出会いました。『トップ営業がやっている小さなルール』『面倒くさがりの私でも、トップセールスになれたのです』という言葉に惹かれて買ってみました。すぐに真似ができそうな小さなルール(短いものは1頁)が豊富に紹介されています。「それはどうかなぁ」とか、「それは私には無理」なんて突っ込みたいところもありますが、それはそれで自分の価値観を知ることになって面白かったです。人に接する仕事という共通性から感じ取るものも多い本です。目次には、<ゴルフ場で、「ナイスショット!」なんて言わない><お客様は、商品と一緒に空気を買う><心から望むのは、どっちの「楽」か>なんていうのもあります。興味がわきませんか?ルールごとに書かれているので、気楽に、好きなところから読めるのもお薦めポイントです。

(学術研究情報センター副センター長 小松万喜子(看護学部看護学科))

 

『プラダを着た悪魔 : 特別編』[映像資料] [請求記号:DVD//770]

 デイビッド・フランケル監督 20世紀フォックスホームエンターテイメントジャパン 2007年

非常に利用の多い映画です。私はこの映画を出納するたびにある発言を思い出します。
恥ずかしながらこの映画の存在を知りませんでした。
でも、こんなによく利用されるのだからきっといい映画に違いないと思っていました。
たまたまテレビで放送されることを知り、でも用事があり家にいない。
録画をしておいてもらえないかと妻に頼んだその時に、妻の口から信じられない言葉が・・・

「これはあなたが観るような映画ではない」

???

今伸び盛りの若手芸人(でも外資系企業の役員でもある)"厚切りジェイソン"をその頃知っていたらきっとこう言っていたでしょう。
「Why my wife why?! おかしいダロウ!!!」

結局録画はしてもらえず、別の機会にDVDで観ましたよ。

華やかなファッション業界、次々に出てくる素敵な洋服にブランド名、そして業界の掟や会社で働くということの痛みを知り、社会の厳しさや仕事とプライベートの両立に悩む主人公。
これから社会に出ていく大学生が観るにはもってこいの映画でしょう。

厳しい女性編集長や同僚(こちらもほとんどが女性)に鍛えられた新入社員が一人前に育っていく物語です。
映画の結末に賛否両論あるようですが、仕事を取るか?プライベートを取るか?その決断はそれほどまでに難しいということなのでしょう。
私は主人公にほどほどの距離間で、やさしい眼差しを向ける男性上司の言葉「仕事が上達すると私生活が崩壊する」が印象に残っています。
私生活の崩壊はだらしなさだけではないのですね。

「あなたは私に似ている、人は何を求め必要としているかを超え、自分のために決断できる」
プラダを着た悪魔からそう言われた主人公がとった行動は・・・

ファッションにまるで興味がなく、ブランド名も知らない男がこの映画を観てなにがわかる!と妻は思ったのでしょう。
いやいやいやいや、これから世に出る若い女性はもちろんのこと、世間の荒波に揉まれている男女にも充分観てもらえる映画だと思います。

(長久手キャンパス図書館 松森)

 

『Harrison Ford in witness : 刑事ジョン・ブック 目撃者』[映像資料] [請求記号:DVD//82]

 ピーター・ウィアー監督 パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン 2002年

 ハリソン・フォード演じるジョン・ブックが活躍する刑事ドラマなのですが、お薦めしたいのはそのストーリーではなく、目撃者となった少年とその母親が属するアーミッシュという宗教集団の生活の様子がよくわかるところです。
 聖書の言葉に従った厳格な戒律を守り18世紀さながらの生活様式を守り続けるアーミッシュ。簡単に言うと、独自の言葉を使い、移動は馬車、電気や電話はひかない、自給自足、洋服は質素に、化粧は禁止、朝四時半に起きて働く、納屋はみんなで手作り、結婚式やお葬式には全員出席、楽器演奏は禁止、暴力・喧嘩は禁止、離婚禁止で子だくさん、オキテ破りは仲間はずれ…といったところ。
 こういったアーミッシュの生活シーンが随所に散りばめられ、ペンシルバニア州ランカスターの風景も美しく、目撃者のサミュエル少年の愛らしさにとても癒される映画です(でも、アメリカの下が開いているトイレは怖すぎます)。
 この映画の中ではカルト扱いや偏見の目で見ている人が多いようですが、最近は様子が変わってきているようです。日本に先んじて、アメリカでは専業主婦志向が高まっており、彼女たちの大好きな"スローライフ、リサイクル、ロハス"といったキーワードを実践しているアーミッシュは、もう偏見の対象ではなく、憧れの存在です。アーミッシュ見学ツアーの予約はいっぱいで、手作りジャムやキルトなどのお土産は大人気。アーミッシュの人たちもアメリカの法には従うし税金も払うので、現金収入は必要なのです。
 1985年公開ということで、学生さんにとっては"非アーミッシュ"の生活の様子さえ昔話に感じてしまうであろうところがちょっと残念です。近年のアーミッシュが外の世界とどのように付き合っているのか、気になった方は『アーミッシュ』(堤純子著 未知谷 2011年 [請求記号:198.93/Ts94])も読んでみてください。

(長久手キャンパス図書館 大石)


 

『言い間違いはどうして起こる? (もっと知りたい!日本語)』 [請求記号:810//1050]

 寺尾康著 岩波書店 2002年

 皆さんは、「言い間違い」をしてしまったことはありませんか? たとえば「桃太郎」を「鬼太郎」と言ってしまったり、「11月11日は何の日?」と聞かれて思わず「ポリッツの日!」と答えてしまったり。はたまた、バイトの先輩やゼミの先生をうっかり「お母さん」と呼んでしまったり……。日常の何でもない場面で、あるいは授業で発表する時のような緊張する場面で。本人も予期せぬところで、言い間違いは飛び出してしまうもの。
 その場では笑い話で済んでしまっても(もちろん、言い間違えた本人にとっては赤面ものの一大事でしょうけれど)、「どうしてあんな言い間違いしちゃったんだろう?」という疑問が残りますね。
 そんな言い間違いの不思議を解き明かしてくれるのが、この本です。
 およそ千語に一語という割合で起こるという言い間違い。地道なデータ収集による具体例約三千例とともに、そのタイプや規則性を見つけていきます。
 そして何より気になる、あなたにあの言い間違いをさせた犯人はいったい何者だったのか?
 誤った形から気付かされる正しい姿、言葉の構造、発話のメカニズム。この本を片手に、「なるほど、あの時の言い間違いはこういう仕組みだったのか!」と冷静に分析してみれば、苦い記憶も多少和らぐかもしれません。

(長久手キャンパス図書館 井上)