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2016年5月の5冊


 

 

『身近な鳥の生活図鑑』 [請求記号:080/C44/1157]

 三上修著 筑摩書房(ちくま新書) 2015年

 新緑の季節になってきました。野外で過ごす機会も増え、若葉の合間から小鳥のさえずりが聞こえてくることも多いですね。そこでバードウオッチングに出かける人もいると思います。今回紹介する本は郊外の森や水辺の鳥たちではなく、街中にいて普段からよく目にする身近な鳥たちを取り上げた本です。スズメやハト、カラスがその主人公で、脇役として、ツバメ、ハクセキレイ、コゲラが紹介されています。都市の生活空間に適応した鳥たちの生活振りがわかりやすく解説され、楽しい読み物になっています。そういえば、私の子供の頃に比べて、身近な街中からスズメやツバメの姿は少なくなってしまっています。逆にカラスはやたらと目立つようになり、ゴミ袋をあさる姿から悪いイメージが膨らんできました。その一方で、ここで紹介されているハクセキレイやコゲラ、それ以外にもヒヨドリなどは、最近でこそ目にする機会が増えてきましたが、以前は街中ではほとんど見かけませんでした。少しずつ鳥たちが新たな生活環境への適応を果たして、天敵が少なく、食べ物の多そうな街中に入り込んできているようです。反対にスズメやツバメは食べ物や営巣場所、巣の材料などの面から、街中では住みづらくなってきているようです。私は犬だけではなくて、野鳥も好きで部屋の窓から眺めることがありますが、仕事で疲れたときの気分転換にもぴったりです。皆さんも自然いっぱいのキャンパスで野鳥観察はどうですか。

(学術研究情報センター長 中島茂(日本文化学部歴史文化学科))

 

『写真のなかの「わたし」 : ポートレイトの歴史を読む』 [請求記号:080/C44/251]

 鳥原学著 筑摩書房(ちくまプリマー新書) 2016年

 大学生の頃、履歴書に貼る証明写真をきれいに撮ってくれると人気の写真店がありました。小さく薄暗い店なのですが、確かに出来上がった写真は自然に、そして実際よりも少しよく撮れていて、就職活動に臨む気持ちをちょっとだけ楽にさせてくれました。
 「ポートレイト」は人物写真を指しますが、本書では19世紀の肖像写真から記念写真、ファッション写真、そしてプリクラやコスプレ写真までを取り上げ、様々な角度から読み解いていきます。私たちが何気なく撮っている、また見ているポートレイトも、その時代ごとの社会や人の心のありようによって左右され変化してきていることがわかります。
 証明写真については、ある写真店のこんなエピソードが紹介されています。「ある女子学生の求めに応じ、撮影後に大きく修正を加えていったところ、写真を見た彼女の友人たちはみな『ありえない!』という反応を示した。そこで慌てた彼女は、修正前の写真のプリントを求めて再度訪ねてきた」。プリクラやスマホでの写真加工が身近になった世代ならではのエピソードですが、ではなぜ修正を加えたいと思うのか、なぜ「ありえない」のか。私は著者の考えにとても納得したのですが、まさにその世代である皆さんがどう感じるか。それはぜひ実際に読んでみていただきたいと思います。

(長久手キャンパス図書館 新川)

 

『京都』 [請求記号:080/451/19]

 林屋辰三郎著 岩波書店(岩波新書) 1962年

 日本文化史学者が京都の歴史について述べた本です。古代から中世、近世を経て現代へと、概ね時系列を意識した章立てがなされていますが、一貫した通史にはなっていません。むしろ著者は、千年という歴史を、各時代と繋がりの深い市内の諸地域を辿ることによって空間的に捉えようと試みます。例えば、大陸の技術が秦氏によって伝えられた古代は太秦によって、王朝文化が栄えた平安中期は嵯峨野・宇治・大原によって、また、機業が発達した18世紀は西陣によって説明されます。
 中でも面白かったのは、9〜10世紀頃を祇園と北野によって説明した四章です。計画的に無理のあった右京を中心に平安京が荒廃し始めるのとは対照的に、その東と北の外れに位置した農村社会が都市的な生命力を帯びる過程を、祇園社(現八坂神社)と北野神社(現北野天満宮)の変質に着目しながら描き出します。その記述からは、現在の都市空間や祭りの起源らしきものが伝わってきますし、今まで漠然と眺めていた京都の市街地図がより意味を伴った空間として目に飛び込んでくるようになるかもしれません。
 通読には多少骨が折れるかもしれませんが、この稀有な都市の成り立ちに興味のある方には必ずや得るところの多い本だと思います。

(長久手キャンパス図書館 笹野)

 

『地球進化論 新版』 [請求記号:448/Ma77]

 松井孝典著 岩波書店 2008年

 皆さんは月や惑星について考えたことはありますか。
 また地球についてはどうでしょうか。
 地球は普段何もしていないように見えますが、地球自身がCO2を吸収、排出しています。また水も循環させています。
 この本はこの地球の役割について詳しく解説してあり、とても興味深い内容になっています。地球と金星、火星との比較について書かれているのもこの本の特徴です。
 宇宙空間においての地球、地球においての人間、一人の人間としての役割、今後の将来についてぼんやり考えてみるのはいかがですか。

(長久手キャンパス図書館 小栗)


 

『昭和の名古屋 : 昭和20〜40年代』 [請求記号:215.5/Sh97]

 名古屋タイムズ・アーカイブス委員会写真 ; 長坂英生文 光村推古書院 2015年

 名古屋の町は目まぐるしく変化しています。特に名古屋駅前は最近では大名古屋ビルヂングがリニューアルするなど、リニア開通に向け高層ビルの建築がすすんでいます。
 そんな名古屋の町が日々進化するなか、すこしばかり昔の名古屋の町を紹介する写真集がこちらです。この写真集では名古屋が空襲で焼け野原となった状態から、高度成長期を経て大都市として発展する様子と、市井の人々の生き生きとした表情を見ることができます。
 現在の名古屋の中心部の町並みをみると、100メートル道路を中心とした整然としているけれど無機質で色彩のない町、という印象があります。しかし、この写真集を見ていると、現在の名古屋の町が成り立っているのは、戦災を逆手に新たな町づくりをし、敗戦からの復興と発展を強く願った人々の思いがあったからだと分かります。
 大須や名古屋駅、東山動物園など、大学生の皆さんにも馴染みのある場所も数多く掲載されており、その風景の変化は新鮮に見えると思います。既に消えたもの、今も残るもの色々とありますが、名古屋の成長をこの写真集から感じる事ができると思います。

(長久手キャンパス図書館 渡邉)