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2022年5月の5冊
今月のテーマ:都市の根源
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規模や形態、機能において実に多様な現象でありながら、「都市」という概念で一括りにされる都市。周辺に対し人口や密度が相対的に大きい集落であれば、それが都市と呼ばれるのでしょうか。都市と農村では、先に発生したのはどちらなのでしょうか。今回は、そのような都市の概念や根源について考えるうえで示唆に富む5冊を集めてみました。
(P.N.yamatogawa) |
『中世都市 : 社会経済史的試論』 [請求記号:332.3/P67]
アンリ・ピレンヌ著/佐々木克巳訳. 講談社, 2018 (講談社学術文庫)
イスラーム世界の進出によって地中海世界から断絶し、古代都市が衰退したと言われるヨーロッパ。では、中世都市が成立し得た条件とは何だったのでしょうか?
『都市のアレゴリー』 [請求記号:361.7//164]
若林幹夫著. INAX出版, 1999 (10+1 series)
ピレンヌの中世都市論から示唆を得た著者は、定住とは都市の二次的な原理ではないかと考えます。では、定住に先立つ都市の一次的原理「場を占めぬもの」とは何を意味するのでしょうか?
『大阪アースダイバー』 [請求記号:216.3/N64]
中沢新一著・写真. 講談社, 2012
「場を占めぬもの」が都市の一次的原理だとしたら、海という場のない所からできた大阪は、水=交通が根底にあるがゆえの水都であり商都であるのかもしれません。
『都市の原理』 [請求記号:318//107]
ジェイン・ジェイコブズ著/中江利忠, 加賀谷洋一訳. 鹿島研究所出版会, 1971
「農村が発展して都市になるのではないか」と考えられがちですが、その意表を突くような著者の逆説は、都市をみる眼を変えてくれるのではないでしょうか。
『都市の論理 : 権力はなぜ都市を必要とするか』 [請求記号:080/1151/12]
藤田弘夫著. 中央公論社, 1993 (中公新書)
なぜ都市が発生するのか。「大集落」という素朴な事実に着目し、「権力」という概念を駆使して探求する試みです。権力は、別の視点からは、機能とも言えそうです。