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2025年3月の5冊


 今月のテーマ:都市空間デザイン


toshikukan
      都市空間のデザインについて建築家の視点で書かれた5冊です。有名な建築家の著作が並んだのは、彼らがデザインする建築や建築群が都市空間に与えるインパクトが大きいからでしょうか。建築は、内部空間と同時に外部空間をつくるものでもありますが、とりわけ、都市建築のデザインには、建築が密集するだけに、都市空間を構成するものとしての視点が重要になってきます。そのような都市空間のデザインの拠り所を過去の実例に学ぶというのも、これらの建築家に共通する姿勢です。

(P.N.yamatogawa)


『空間へ(河出文庫)』 [請求記号:520.4/I85]

磯崎新著. 河出書房新社, 2017.

1960年代の都市論集ですが、近年に発表された論考であるかのような瑞々しさが感じられます。「イタリアの広場」や「《島》的都市の発想と歩く空間」などの論考からは、地中海都市の街路・広場の魅力が伝わってきます。

『見えがくれする都市 : 江戸から東京へ(SD選書)』 [請求記号:518.8/Ma34]

槙文彦他著. 鹿島出版会, 1980.

東京の都市空間の形態分析を通じて、なぜ、そのような形態がもたらされたのか、形態の背後に潜在する意図を探り出します。谷と台地が複雑に入り組んだ地形に、江戸の道はどのように適応しているのでしょうか。

『都市空間のデザイン : 歴史のなかの建築と都市』 [請求記号:520.2/O84]

大谷幸夫著. 岩波書店, 2012.

建築によって都市をつくる方法を見つけるには、今まで建築がどのように都市をつくってきたかを知る必要があるのではないか。古今東西の都市を例に挙げ、建築による都市空間の構成原理を紐解いていきます。

『スペイン建築の特質(SD選書)』 [請求記号:523.36/C61]

F・チュエッカ著/鳥居徳敏訳. 鹿島出版会, 1991.

なぜ、大聖堂の中央に共唱席が配置されるのか。なぜ屋内や屋外の移動経路が折れ曲がっているのか。これらの空間構成の分析を通じて、スペイン建築・都市に共通する興味深い特質が発見されます。

『集落の教え100』 [請求記号:520.4/H31]

原広司著. 彰国社, 2004.

世界各地に散在する100の集落を調査し、各集落に観察された空間構成の原理を、見開き2ページで解説します。添付の写真には、近景や遠景のほか、空中写真もあるなど、原理はさまざまな表れ方をするようです。