教員推薦本 ・『フェルマーの最終定理』 サイモン・シン著 青木薫訳
・『暗号解読』 サイモン・シン著 青木薫訳
・『もう牛を食べても安心か』 福岡伸一著

 

 

『フェルマーの最終定理』 [請求記号:412.2/Si8/]
サイモン・シン著 青木薫訳 新潮社(新潮文庫) 2006年

『暗号解読』 [請求記号:共同図書環809.7/Si8]
サイモン・シン著 青木薫訳 新潮社 2001年

 専門分野に隣接している人にとっても難解なことは門外漢にとっては近寄ることすらできないように思われますが,ここにあげた2冊の本はそのようなことを見事に払拭してくれます.著者の能力の高さに脱帽です.両方の本とも数学の,そして人類の歴史を横糸にして,数学という科学について説明してくれていますし,数学分野の研究成果がいかに私たちの生活の中に入り込んでいるかも教えてくれる側面をもっています.「フェルマーの最終定理」では,「存在しない」という消極証明の難しさとその証明がどのようになされたかということ,定理を証明したワイルズ(Andrew John Wiles)の研究動機などのエピソードも書かれていていろいろな側面から楽しく読める1冊となっています.
 暗号というとインターネットで注文・支払いなどをする時のデータの暗号化を多くの人が思いだすことでしょう.そのようなことをしない人にとっては,外交文書の通信,きなくさい軍事技術関連のことと理解するかもしれません.しかし,暗号解読の技術はロゼッタストーンの解読などの文字解読がなされていない歴史的文書の解読・理解にも大いに役立っています.暗号の歴史は長いもので,歴史上の人物に限らず、多くの人がいかに暗号を使ったかも知ることができて「暗号解読」は歴史物語としても楽しめます.もう少し深読みをするならば人は誰でも秘密と言われていること知りたいし,自分だけの秘密を持ちたい気持ちをもっています.「これ秘密だぞ」と前置きすると,噂がよく広がると言われます.試してはいかが.

(情報科学部情報科学科 横田幸雄)