コラム

2020年 コロナ禍の愛知県立大学

2019年1月頃から流行した新型コロナウイルス感染症によって、2020年度の学生生活は今までのものとガラリと変わりました。4月から始まるはずの前期授業は5月7日からとなり、しかもすべての授業はパソコンを用いた遠隔授業となりました。学生は大学には行かずに自宅で授業を受けることになったのです。

県大には新型コロナウイルス感染症対策室が設けられました。そして感染症対策のため、大学内で行う様々な活動も中止・禁止を余儀なくされました。課外活動は、学内外を問わず、宿泊の有無にかかわらず、全面禁止となり、学生会館や練習室、教室、体育館などの利用も禁止となりました。もちろん新入生ガイダンスやオープンキャンパスも、学内で行われず、オンライン上で開催されました。授業は遠隔ですから、自宅の中で、同級生にも先生にも直接会わず、サークル活動も無しという奇妙な学生生活がおよそ半年続いたのが2020年でした。

その後、教室での対面の授業は増えていきますが、マスクを着けながらの受講が必須となっていたので、学内で会う人々の素顔が悉く見られない、覚えられないという状態が続きました。これを書いている今(2023年7月)は、もうマスク必須という状態ではありませんが、まだマスクを着けたままの学生が多いので、大学で出会った友人の顔を知らないまま卒業していく学生もたくさん出てくると思います。コロナ禍は感染症そのものの恐怖だけでなく、その影響によって二次的に起こるこのような無念さも生み出しました。

コロナ禍による巣ごもり生活、人と向き合うことの少ない学生生活、不要不急の外出を制限したりワクチン接種を奨励したりする国の方針など、思いがけないことが相次いで不安を感じている学生たちのために、愛知県立大学は10月、在学生や卒業生、教職員、一般の方々によるメッセージを集約した『Withコロナ時代 愛県大生 応援メッセージ』を発行しました。その内容は、県大のホームページからいつでも見られるようになっています。このメッセージ集には、地球規模のパンデミックという前代未聞の状況を、否定的にとらえて不安を増大させるのではなく、むしろそれによって新しい発見や価値観が生まれる貴重な機会だと、前向きにとらえるものも多くありました。こうした励ましの言葉を見ると、先行きの見えない現状に対する不安を何とか取り除こうという大学の努力が伺えます。

2020年のコロナウイルス流行という事態がどれだけ大学内の人々の心に影響を与えたのかがわかると思います。在学中に経験した世代が卒業後にどうふり返るのか、その追想にも意味がありそうです。

学生のためのコロナ感染防止対策動画
「コロナをみんなで乗り越えよう」(2021年5月25日発表)より

執筆

  • 執筆者
    日本文化学部学部生
    浅野 七帆
  • 投稿日
    2023年08月23日

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